よくある質問 FAQ

質問の内容は主にヘリ、またはキャットを前提としたものです。

Q1:どのような斜面を滑りますか?

氷河や森林限界上の広大なオープンバーン、森や林の中など滑る斜面は様々ですが、その日滑るコースの選定は、主に天候、積雪の安定状態、雪質、グループの滑走レベルなどで決まります。平均的な条件下で滑るコースの多くは斜度20~35度前後の斜面ですが、整備されていない自然のままの山を滑るので、滑りやすい斜面が上から下までつながっているとは限りません。1本のコースの中で、滑りやすい斜面から次の斜面へ移動する際に沢を越えたり急斜面をトラバースしたりすることもあります。

Q2:スキーのレベル、体力はどれくらい必要ですか?

スキーの技術は、雪質に左右されず上級者コースを滑り降りてこられる、または中急斜面で連続した小回りで滑れる方ならほぼ問題なく参加していただけます。深雪は滑ったことがない方でも、パウダー用の幅広スキーをはけばすぐに慣れていただけるはずです。スノーボードの方は、平坦な場所での直滑降や急斜面でのトラバースをフロント、バックに関わらずずり落ちることなくこなせる技術が、斜面を滑る技術よりも優先されます。

本来深雪滑走は、慣れてしまえば体力はそれほど必要ありません。実際、世界中から集まる参加者の中には年配の方も多くいらっしゃいます。しかし、深雪に不慣れなうちに転倒すると、起き上がるのに体力を消耗してしまうケースが目立ちます。深雪の中で転倒しても慌てず冷静に対処できることが求められます。

スキー場とヘリ、キャットを含むバックカントリーの違いは、ひと言でいえば滑る場所が整備されているかいないかです。 圧雪に比べ、自然のままの雪は、気温、風、日射などにより大きく変化します。上から下まで上質のパウダーのときもあれば、標高や斜面の向きなどによって微妙に、ときには極端に雪質が変わることもあり得ます。上手に滑れる必要はまったくありませんが、そうした変化に対応できることはある程度求められます。具体的にはスキー場で終日、かつ連日滑れる程度の体力は最低限の条件となります。

Q3:1本の距離と標高差はどのくらいですか? どのくらい時間がかかりますか?

ヘリの場合、平均的なところでは、距離1~3km前後、標高差500~1,500m前後のコースを15~45分前後で滑ります。キャットはその約半分から1/3程度。バックカントリーロッジでは1日1,000~1,500m前後の標高差を登り、滑ります。もちろん天候、雪、グループ次第でこれらの範囲は変わります。

Q4:ヘリ、キャットでは1日に何本くらい滑りますか?

ウィークリー、またはマルチディのヘリスキーでは10~20本、デイリィヘリスキーは各会社が定めるパッケージの本数にプラスして追加滑走を楽しめる場合もありますが、多くても10本前後が平均的なところです。キャットの場合は10本前後が標準です。

Q5:ベストシーズンはいつですか?

一般的には積雪量が多く、天候が安定してくる2月から3月中にかけてが、ベストコンディションに当たる確立が高いとされています。そのためその時期に人気が集中するので、多くの会社がハイシーズンとしてツアー料金も一番高く設定しています。

Q6:多くの会社でシーズンインや春のツアーが安く設定されているのはなぜですか?

シーズンイン(12月、1月)は日照時間が短いので、滑れる時間が短いから、というのが最大の理由ですが、まだ積雪量が十分ないため氷河によってはクレバス(氷の裂け目)が埋まらず、滑るコースが限定的となるリスクも理由の一つです。また、春は日が長く気温も上がり、のんびりとしたスキーを満喫できる反面、天候が崩れると雨に見舞われるリスクが高いので、価格も安めに設定されています。

ですが、林の中を滑るのが大好きな人は逆にシーズンインの時期を狙い、毎年春になると訪れるのんびり派の人もいらっしゃるので、「安い=悪い」ということではありません。安めに設定されているのはリスクの大きさが価格に反映されているためです。

Q7:ヘリが飛べない日は1週間にどのくらいありますか?

年により差がありエリアと時期によっても変わりますが、平均的なところでは半日~2日前後です。よほどひどい条件に当たってしまうとそれ以上飛べないこともあり得ますが、良い条件の年はシーズンを通して5日前後しかダウンディがないこともあります。

Q8:ヘリが飛べない日はどのようにして過ごしますか?

大抵のロッジでは、周辺にクロスカントリーやスノーシューのコースが用意されていて、無料で楽しむことができます。またツーリング用のギアが用意されているところでは、ガイドと共にプチツーリングを楽しめるところもあります。読書や音楽鑑賞、DVD映画など、静かな山中のロッジならではの過ごし方もヘリスキーの一部としてお楽しみ下さい。

Q9:参加費以外に現地でどのくらいの費用が必要ですか?

どのツアーも現地集合解散が基本となっているので、現地までの航空券、移動費と、ツアーによっては近くで前泊、またはツアー終了後に泊まらなければならない日程で設定されているところもあるので、そうした経費は別途必要です。

ツアーには宿泊、食事が含まれているところがほとんどですが、お酒、インターネット接続、電話、マッサージ、チップなどは料金に含まれていません。もっとも大きな支出は規定を越えてもっと滑りたいという場合の追加滑走料です。これには規定の料金がかかります。

Q10:もし他の参加者についていけない場合はどうなりますか?

ヘリとキャット、BCロッジにより対応が分かれます。ヘリの場合は通常1日に1~3回、だいたい3~6本毎に給油のためにロッジに戻ります。 もし疲れてしまった場合は、その際に一足早くロッジに戻ることができます 。キャットの場合はグループ内の人数にもよりますが、キャットの中で休憩できる場合もあります。BCロッジではガイドが通常は2名常駐しているので、先に戻りたい人と、もっと滑りたいグループに分けて案内することも可能です。しかし、そうできるかどうかはその時々の条件次第となります。

Q11:どのような装備が必要ですか?

基本的には普段滑っている服装で大丈夫です。特別な装備は必要ありません。ただし、カナダではシーズン中に何度か北極海で発生した寒気団が南下してくることがあり、マイナス30度近くまで冷え込む場合もあり得ます。 その場合には肌を露出しているだけで凍傷になることもあるので、顔を覆えるフェイスマスクと、1~2枚余分なレイヤーをご持参されることをお勧めします。

またヘリの乗降時には強い風が伴います。 野球帽などのキャップは飛ばされやすく、サングラスは内側がぬれてしまい役に立たないことも多いので、ニットやフリースの帽子とゴーグルは必ずご持参下さい。 さらに使い捨てカイロがあると重宝します。

ビーコン、シャベル、プローブなど雪崩対策用の装備レンタルは通常ツアー代金に含まれています。会社によっては自前の装備を持参してもご使用いただけない場合もあるので、各会社に用意されているものをご使用下さい。

Q12:スキーは持参した方が良いですか?

ヘリとキャットのツアーにはスキーレンタルも料金に含まれているものがほとんどです。しかし、自前のスキーで滑りたい方はもちろん持参していただいて構いません。スキーブーツのレンタルは通常用意されていませんのでご持参下さい。

BCロッジの場合はすべての装備を持参される方がほとんどですが、スキーのレンタルを用意しているロッジもあります。

Q13:ロッジ滞在の場合食べられないものが多く、食事が心配です。事前にリクエストできますか?

時間的な余裕を持って事前にリクエストすれば、基本的にはすべての会社で対応可能です。

Q14:安全面が心配です。雪崩などに巻き込まれる危険はありませんか?

ないとは言い切れません。すべての会社のガイドはその日の積雪状態や天候を把握するためにありとあらゆる情報を集め、事故を起こさないためのトレーニングを積んできていますが、自然相手の行動には日常より高いリスクが存在します。どのツアーでもそうしたリスクを受け入れ自己責任で参加することを確認するための同意書(Waiver)への署名が必要です。

Q15:お勧めのヘリ会社はどこですか? 自分に適した会社はどのように選べばよいですか?

ヘリの場合は、ウィークリーかディリーかでまず大きな差があります。ヘリスキーが初めてで、技術、または体力的にご不安がある方は比較的気軽に参加できるディリーのツアーに参加されることをお勧めします。その他の基本的な各会社の違いは、場所、グループの人数、アンリミテッドか最低保証標高差制かなどの内容の差になるので、なにを優先するかにより変わります。

[エリア別の特徴]

(1)コースト山脈
世界有数の豪雪地帯。1シーズンの降雪量としては世界一を記録(29m)したマウントベイカーもこの山系に属しています。太平洋に近いため比較的湿度が高く、降雪量が豊富なので内陸に比べるとやや重い雪質ですが、その分積雪が安定するスピードも速いので、スティープ&ディープに当たる確率が高いエリアです。

(2)コロンビア山脈
内陸に位置しますが、大きな湖や河川に囲まれているためほど良い湿度があり気温が低いため、上質のパウダーに恵まれる確率が高いエリアです。多くのヘリやキャット会社が密集しています。

(3)ロッキー山脈
平原地帯に面した最も内陸に位置する山脈なので、乾燥していて降雪量は少なめです。また気温が低く晴天率が高いのが特徴です。

[グループ人数]

ミディアムと呼ばれるヘリはゲストを一度に11人まで運べるのに対し、スモールと呼ばれる小型のヘリは4人、または5人。使用するヘリの機種により、グループの人数が変わります。一般的には滑るペース、コースのバリエーション、柔軟性など、ヘリスキー運営のほぼすべての面で少人数制の方が有利ですが、コストパフォーマンスはミディアムの方が高く、少人数制のツアーより2割前後安いようです。

[保証標高差]

ウィークリーの会社では「滑走最低保証標高差」が設定されていて、ツアー中に滑れる標高差を保証しています。天候や機材のトラブルなどで規定の標高差に達しない場合、その分は返金され、逆にそれ以上滑る場合には同様の規定で追加料金がかかります。例えば7日間のツアーで標高差100,000フィート(約30,500m)が保証されている会社で悪天候に見舞われ半分の50,000フィートしか滑れなかった場合は50,000フィート分が返金され、天候と雪に恵まれ150,000フィート滑った場合には、50,000フィート分の追加料金がかかります。

それに対して最近出始めたのが、「アンリミテッド」というシステムで、どんなに滑っても追加料金がかからない一方、何かの理由であまり滑れなくても返金はない、というものです。(一部に最低保証を設けている会社もあり)

ディリーの場合は標高差ではなく、滑る本数でツアーが設定されています。(3本コース、6本コース、など)

Q16:ヘリツアーに参加すれば必ずパウダーを滑れますか? 滑るコースをリクエストできますか?

残念ながら答えはノーです。ヘリに限らず、キャット、バックカントリーロッジ、すべてのツアーでは以下に挙げる4つの条件次第でできること、できないことが変わってきます。リクエストは受けてくれますが、できるか否かはこれらの条件次第となります。

4つの条件: (1)天気、(2)雪質、(3)積雪の安定度、(4)一緒に滑る人

(1)天気
ヘリの場合、多少雪が降っていても飛べますが、山に霧や雲がかかり、雪と雲の区別がつかないような条件になるとお手上げです。その場合は滑ることはできません。しかし、ある程度視認できるものがあれば飛べるので、多くの場合ツリーランと呼ばれる疎林帯や森の中を滑ります。一方晴れていれば、標高の高い山頂から大氷河や大斜面などのオープンバーンを滑る割合が高くなります。
キャットやバックカントリーロッジの場合は、よほど荒れない限り滑ることができる斜面はある程度確保されているので、滞在中にまったく滑れないという事態に遭遇することは稀ですが、雨に当たってしまったり、極端に積雪状態が不安定になってしまうとその限りではありません。

(2)雪質
気温と風次第では一瞬で変化してしまうこともあり得るため、その時々の条件次第で腰まで埋まる深雪から、時にはカリカリの青氷まで、雪が変化しえるすべての条件に当たる可能性があります。その中で比較的安定した雪質に恵まれるのが例年2月~3月です。また、限られた時間の中でより良い雪質を求めて移動できる点ではヘリの機動力が最も有効ですが、それでも100%パウダーを保証するものではありません。

(3)積雪の安定度
安定し雪崩の危険がない場合にはあらゆる斜面にアプローチできますが、不安定な場合は斜度や地形により滑れるコースが限られます。一般的にパウダーを滑るには25°~35°前後の斜面に人気が集まりますが、不安定なときに多くの事故を発生させるのも同様の斜度なので、慎重な判断が求められます。また、たとえ滑る斜度が緩くても、上部に大きな雪庇や雪崩を誘発しえる斜面があるような場所を滑ることはできません。

(4)一緒に滑る人
ツアーでは、世界中から集まる人が、自己申告によりレベル別のグループに分かれ滑ります。自己申告なので同じ「中級」にもかなりの差があることは珍しくありません。また、決められた定員の中で行われるグループ分けなので、中級者と上級者が同じグループになることもあり得ます。その場合、グループ内の速い人は待つ時間が長くなり、遅い人は焦るので、双方にとってあまり楽しい時間にならないこともあり得ます。

こうしたレベル差は人数が多ければ大きくなりやすい傾向にあるので、必然的に少人数制のヘリ会社が近年増えてきた理由につながっています。従って、もしツアーを最大限に楽しむなら、友人同士で1グループの人数を募り参加するのがベストな方法です。