バックカントリーロッジ BACKCOUNTRY LODGE

冬は純粋に山スキー、夏は登山やハイキングを楽しむためのベースとなる山小屋を指す。縦走路や登山道が一部にしか整備されていないカナダでは、日本のように1泊から泊まれ食事も提供している山小屋というのはほとんど存在しない。キャビンやハットと呼ばれるものは、多くの場合、避難小屋程度の設備しかない。それに対し、ここで紹介しているバックカントリーロッジ、またはコマーシャルロッジと呼ばれるものは、食事はもちろんサウナやシャワー、場所によってはWIFIまで備えた山小屋に滞在し、常駐するガイドの案内で毎日山スキー三昧の時間を過ごすことができるものである。

ヘリやキャットと同様に、未開の山が多く残されたカナダの環境の中で、自然と発展してきたスタイルの遊び方と言っていいかもしれない。コンセプトとしては、開発されて混雑するスキー場を離れ、スキーが始まった時代に回帰し、冬山で遊ぶ上で最低限の快適性を求めたものを具現化した空間。日本では八甲田などで楽しまれているスタイルのスキーに近いのではないだろうか。

ただし、カナダの場合、すべての小屋はヘリやキャット用のロッジと同様、雪深い山奥に建てられているので、小屋までのアクセスはヘリかキャットなどの機動力に頼らなければならない。そのため1日だけ利用できる小屋はほとんどなく、客が入れ替わる曜日が予め決められていて、数日から1週間単位のパッケージでいくらという料金設定になっている。

料金にはガイドサービス、最寄りの街から小屋までの往復、食事、スナックなどが含まれる。スキー場や道路からアクセスするバックカントリーエリアとは異なり、ロッジに宿泊している人たちしかいない山中で、毎日登った分だけ滑る、とてもシンプルかつ、ある意味贅沢なスキーを楽しめる。

小屋の設備はいろいろだが、基本的には電気も水道もない場所なので、暖房や調理は薪ストーブ。かつては暗くなったらランプに灯りを点すというスタイルだったが、近年では最低限の電力は発電機やソーラーパネルで確保しているところが多い。

日常の世界からポンと入ると多少戸惑うこともあるが、過ごすうちに余計なものが排除された空間が居心地良く感じられてくることが多い。自分の足で登って滑り、心地よい疲労感に包まれながら飲むビールや温かい食事はまずいわけがない。山の中ではなにがあるとシアワセで、なにが余計だったかを再認識させられることも多い。ヘリやキャットの優雅さとは対極的に映るかもしれないが、自分たちだけで山を占有している贅沢な感覚は、エンジンが立てる騒音がない世界の方が、より強く感動的に思えるのではないだろうか。

[ 1日の流れ ]
ほとんどのロッジには2名、またはそれ以上の数のガイドが常駐しているので、通常はグループ分けをするか、またはひとつのグループで出発し、途中で分かれることもある。朝食は7:00前後。9:00出発で、午後3:00前後にはロッジに戻り、サウナとシャワーで汗を流し、夕食までの時間はのんびり過ごす。夕食は夜7:00前後で、10:00頃には就寝というのが一般的。

[ 体力レベル ]
平均的には1日800m-1,500m前後の標高差を登って滑る。7日間の中で休息日を入れる人もいるが、大多数はそのペースで7日間を過ごす。休暇ではあるが、この1週間を1年の目標にしてやってくる人が多いが、かといって若い人はそれほど多くなく、どちらかというとゲストの大半は中高年層。

カラハンカントリーズ・ジャーニーマンロッジCALLAGHAN COUNTRY'S JOURNEYMAN LODGE

[特徴]

ウィスラー近郊のカラハンバレー、標高1,370mに建つハイエンドな山小屋。元々クロスカントリー主体のロッジだったが、1998年に現在の形となり、近年はバックカントリースキーヤ-/ライダーに人気が高い。山小屋とは思えない施設とコースディナーが自慢。基本的には1泊から予約できるが、部屋タイプ、時期、宿泊数で料金は変わる。ロッジへのアクセスにはいくつか選択肢があり宿泊料とは別料金。また、下記の料金にガイドフィーは含まれていないが、ガイド付きのパッケージもリクエストベースで手配可能。

所在地(山系) コースト山脈(ウィスラーの南西約20㎞)
定員 24
ロッジへのアクセス キャット、スノーモービル、ヘリ、スキー
冬シーズン料金 ​​$1,300.00
創業 1982
インターネット
Access バンクーバーからウィスラー郊外のオリンピックパークへ車で約30分、ここからロッジまではクロスカントリースキー、スノーシャトル、スノーモビルなどでアクセス。

MAPはこちら

URL www.callaghancountry.com/(英語)

ホワイトキャップ・アルパインアドベンチャーロッジWHITECAP ALPINE ADVENTURES LODGE

[特徴]

ウィスラーの北東、サウスチルコッティン山系に建つ山小屋。コースト山脈の内陸側に位置するため、大量のドライな降雪に恵まれることで知られている。バリエーション豊かな斜面が揃っていて、のんびり派からコアな滑り手まで満足できる。集合解散は日曜日の朝で、3日半のパッケージは火曜日の午後に終了となる。簡易シャワーとサウナあり。

所在地(山系) コースト山脈(ウィスラーの北東約75㎞)
定員 14
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 3,4日間
ハイシーズン料金 $2,500 (ヘリピックアップ)
創業 1972
インターネット
Access バンクーバーからペンバートン空港へ車で約2時間30分。ロッジまではリコップターで送迎。

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URL whitecapalpine.ca/(英語)

バーニーグレーシャー・シャレーBURNIE GLACIER CHALET

[特徴]

カナダのバックカントリーロッジとしては最も北端に位置する山小屋。バーニー氷河の先端部に建てられたロッジで、周辺にはカナダらしい迫力ある氷河の景観が広がっている。ツリースキーもあるが、比率としてはオープンなアルパインボールが多い。パッケージはすべて7日間で、金曜日集合解散。金曜日の朝スミザースの空港に集合し、ヘリで入山する。

所在地(山系) ココースト山脈(北部)(Smithersの南東約50㎞)
定員 11
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 7日間(金曜日スタート)
ハイシーズン料金 $3,234.53
創業 2001
インターネット
Access バンクーバーから国内線でスミザーズまで約2時間。シャレーまではヘリコプターで送迎(地図内の表示はスミザーズ)。

MAPはこちら

URL bearmountaineering.ca/(英語)

バトルアビーBATTLE ABBEY

[特徴]

バックカントリースキーのメッカ、ロジャースパス(グレーシャー国立公園)のプライベートバージョンとも形容される山小屋。標高2,200mに建つロッジからはアルパインボール、氷河、急斜面のツリーなど、あらゆるタイプの斜面にアクセス可能。CMHを創設したハンス・モーザーと彼の友人が始めたことでも知られ、古くからのファンが多い。パッケージは7日間で、毎週土曜日集合解散。土曜日の午後1:30にGoldenの空港に集まり、そこからヘリで入山する。

所在地(山系) コロンビア山脈(セルカーク)(Golden)
定員 14
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 7日間(土曜日スタート)
ハイシーズン料金 $3,732.75 (Tax込)
創業 1979
インターネット
Access カルガリーからベースタウンとなるゴールデン空港まで車で約3時間。ロッジまではヘリコプターで送迎。

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URL battleabbey.ca/(英語)

セルカーク・ロッジSELKIRK LODGE

[特徴]

アルバートアイスフィールドの標高2,200mに建つ山小屋。バックカントリーロッジの草分けのひとつ。斜面の豊富さ、雪質などに定評があるが、ひとり参加の料金設定はなく、プライベートグループによる7日間の貸切が基本。料金には、宿泊費、食事、ガイド2名、ロッジまでの往復ヘリ代、レベルストークからヘリポートまでの往復移動費がすべて含まれる。毎週土曜日スタート。

所在地(山系) コロンビア山脈(セルカーク)(Revelstokeの東約35㎞)
定員 12
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 4,7日間
ハイシーズン料金 $3,575
創業 1986
インターネット
Access バンクーバーから国内線でケロウナへ約1時間。ベースタウンとなるアルバートキャニオンまで車で約2時間30分。ロッジまでヘリコプターで送迎。レベルストークから車の送迎も可能。

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URL www.selkirklodge.ca/(英語)

ソーサー・ロッジSORCERER LODGE

[特徴]

ゴールデンの西側、グレーシャー国立公園の北端に隣接するエリア。ロッジの標高は2,050m。ここも雄大な景観と雪質の良さで古くからのファンが多い。パッケージは7日間で毎週日曜日スタート。その週の参加者は土曜日の夜8:00にGoldenに集合し、翌日からのツアーについての説明と班分けを行ってから、日曜日の朝ヘリで入山する。

所在地(山系) コロンビア山脈(セルカーク)(Golden)
定員 18
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 4,5,7日間
ハイシーズン料金 $4,100
創業 1990
インターネット
Access カルガリーからベースタウンとなるゴールデンまで車で約3時間。ロッジまではヘリコプターで送迎。

MAPはこちら

URL www.sorcererlodge.com/(英語)

バルハラ・マウンテンツーリングVALHALLA MOUNTAIN TOURING

[特徴]

大きな斜面が多く、雪質、量とも申し分ないエリア。ロッジの標高は1720m。バックカントリーロッジの老舗のひとつ。ロッジは、水洗トイレ、シャワー、サウナ、ゲストルーム7部屋が完備。周辺の最高峰は2,500mで、標高差400-600mのツリーランはここでのハイライト。
1日の登行滑走標高差は1,300mから2,000m前後が平均的。

所在地(山系) コロンビア山脈(セルカーク)(New Denverの北13㎞)
定員 20
ロッジへのアクセス キャット
パッケージ 7日間(日曜日スタート)
ハイシーズン料金 $2,900
創業 1978
インターネット
Access バンクーバーから国内線でケロウナへ約1時間。ベースタウンとなるニューデンバーまで車で約4時間。ここからスノーキャット乗り場のあるヒルズまで車で約15分。ロッジへはスノーキャットで送迎(地図内の表示はヒルズ)。

MAPはこちら

URL www.vmt.ca/(英語)

ソルマウンテン・ロッジSOL MOUNTAIN LODGE

[特徴]

創業が2005年と比較的新しく、設備の整った快適なロッジと、短い日程のパッケージも用意されている。ロッジの標高は1,900m。朝7:30にCherryville集合なので、前日までにKelowna、またはRevelstokeにいる必要がある。

所在地(山系) コロンビア山脈(モナシー)(Revelstoke南約60㎞)
定員 18
ロッジへのアクセス ヘリ、キャット
パッケージ 5~8日間
ハイシーズン料金 $3,450 (6日間) / $2,950 (5日間)
創業 2005
インターネット
Access バンクーバーから国内線でケロウナへ約1時間。ベースタウンとなるチェリービルまでは車で約1時間30分。ロッジまではヘリコプターで送迎。

MAPはこちら

URL www.solmountain.com/(英語)

アイスフォール・ロッジICEFALL LODGE

[特徴]

メインロッジの標高は1,900m。他にも2つの小キャビンがエリアの中にあり、3つの小屋をつなぐトラバーストリップも可能。標高差を大きく取れる斜面が多いので体力に自信がある人向け。パッケージは毎週日曜日スタートで、7日間のみ。

所在地(山系) ロッキー山脈(Golden)
定員 18
ロッジへのアクセス ヘリ、スキー
パッケージ 7日間(日曜日スタート)
ハイシーズン料金 $3,000
創業 2000
インターネット
Access カルガリーからベースタウンとなるゴールデンまで車で約3時間。ここからヘリ乗り場のあるドナルドまで車で約20分。ロッジまではヘリコプターで送迎。

MAPはこちら

URL www.icefall.ca/(英語)

カナディアンアドベンチャーカンパニー・マラードロッジCANADIAN ADVENTURE COMPANY - MALLARD LODGE

[特徴]

数あるバックカントリーロッジの中でも最も人里から離れた場所に建てられたロッジのひとつ。アクセスするにはヘリで約30分。ロッジが完成したのは2013年とまだ新しいが、定員は9名のみとプライベートな空間を大切にしているロッジ。短い日程のパッケージもあるので比較的手軽に参加できる。カナディアンロッキーらしい開放的な景観が売りのひとつ。

所在地(山系) ロッキー山脈(Valemount)
定員 6-7
ロッジへのアクセス ヘリ
パッケージ 3、4、7日間
ハイシーズン料金 $4,539(7日間)
創業 2013
インターネット
Access 国内線でカムループスへ約1時間。ベースタウンとなるベイルモントまで車で約3時間30分。ここからヘリコプター乗り場まで車で約30分。ロッジまではヘリコプターで送迎。(マップ内表示はベイルモント)

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URL www.canadianadventurecompany.com/(英語)
[バックカントリーロッジご利用の注意]
・日本語によるバックカントリーロッジのお問い合わせ/お申し込みは受け付けておりません。
・会社によっては、日程や人数に応じたプライベートの手配も可能です。
・表示額はすべてカナダドルです。
・営業期間はエリアによって多少差がありますが、12月初旬から4月下旬頃までが一般的です。
・各会社により集合場所が決められていますが、通常、そこまでのアクセスは料金に含まれておりません。カナダ国内線を利用し最寄りの空港まで移動してからはレンタカーをご利用いただくことになります。(一部の会社では別料金でシャトルサービスをご利用いただけます)
・料金、及び内容は原則として問い合わせベースとなります。
・記載されているものは情報は、予告なく変更されることがございます。
<22/23シーズンに関する注意事項>
・2022年11月現在、ワクチン接種済みを条件に、カナダも日本も出入国に対する規制はほぼ撤廃されました。詳しくはこちらのサイトをご参照下さい。(http://www.japanada.com/tag/covid19